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データサイエンスを武器に展開するPTのキャリアとは

インタビュイー: MITTIさん
インタビュアー: 舩津康平

データサイエンスの学習ってどうしたらいいですか??

「子どもを風呂に入れていました〜。」とZoom ミーティングに入ったMITTIさん。
SNSを見ていると仕事人の印象が強いMITTIさんだが、父親としての一面を垣間見たところからインタビューはスタートした。

本日はデータサイエンスを用いたキャリアとその価値について深堀したいと思います。データサイエンスを学んだきっかけはなんですか?

アメリカでPTをしている一色先生の勉強会に参加して、エビデンスの使い方を勉強したんですよね。正直、それまでは研究とか論文とかデータってあまり見てこなかったんですけど、データ分析の視点が自分のやりたいことに近いかなって思ったんです。それで「データを使いながら臨床を考える」ことに興味を持ち始めました。

それって何年前くらいでしょうか?

10年くらい前です。当時は興味持っただけで何してらいいか分かんなくて、職場の博士号を持っている人に統計とか研究のアドバイスを受けていたんですけど、よく理解できなくて (笑)

なるほど。

自分はこれが知りたいんだけど何でそんな指摘をされるのかって事もありました。そこで、やっぱり自分で考えられるようになりたい!と思い始めました。

ではMITTIさんはデータサイエンスをどう学んでいったんでしょうか?

独学で学びました。37歳くらいで始めました。

大学院などの選択肢はなかったんでしょうか?

興味はありましたけど、子どものこととか色々あったので。大学院に行くお金があったら子どもに使いたいですしね。ただ、調べると独学もそれなりに勉強できる事がわかりました。今は色んな大学が資料を出したりコースを提供していたりするので。

そうだったんですね…。独学って大変じゃないですか?

英語の講義をGoogle翻訳で訳しながら聞いてました (笑)  独学って「生半可にしていたら合ってるかどうか分からない」んですよ。独学だからこそ自分が納得できるところまでやらないといけないなっていう感覚はありました。人に聞けない分、逆にモチベーションが高まったのかも。

覚悟が必要ですね…。独学の良いところってなんでしょうか?

独学は勉強の範囲が指定されないですよね。だからこそ、色んな視点で医学統計を見れるので幅広く学べました。

大学院ではシラバスが指定されたりしますもんね。僕もgacco(※)で無料講義を見ますが、分からないまま終わってました…反省です。
※gacco: 大学教授をはじめとした一流の講師による講義を誰でも無料で受けられるウェブサービス。

図書館で「統計学は最強の学問である」とか色々な本を読んでいくと、同じ統計でも医療と経済で定義が違ったり、医療統計でもリハビリと生物統計家の常識が違ったりと驚いたこともありました。あとはTwitterで情報発信していると、生物統計家の先生と繋がりができて知識が深まった部分もあります。

なるほどですね。ところで、MITTIさんは元々きっちり積み上げて学んでいくような性格なんですか?

昔から興味ある事からどんどんつまんで行って、返ってくるか分からないボールを返ってくるまで投げ続ける性格だったかもしれないです。

(やっぱり)

ストレングスファインダー(※)では、”回復志向”が一番強くて、”分析思考”とか”収集心”がありました。どんなリーダーになればいいか悩んでいた時にこの結果を見て、現場の困っているとことを見つけて分析・提案する支えるリーダーが向いてるのでは?と解釈しました。
※ストレングスファインダー:自分の能力を最大限に強みを徹底診断するサービス。

だとするとデータサイエンスの仕事とMITTIさんの元々の性格がマッチしてたのでは・・?

というより、強みがわかったのが先なんです。強みに自分を寄せるように働き方を変えていきました。データ分析もやってみたら「これは確かに自分に合っている!いくらやっても苦にならないし面白い!」と気づいて、データ分析も仕事を作りにいく気持ちで地道にしていたら、新しい仕事をもらえるようになった感じです。

データサイエンスの仕事に向いた人っているんですかね?

自分の強みを知るだけじゃなくてどう活かすかを突き詰めていくと、データサイエンスに向いているかもしれないと感じる人がいるかもしれないですね。

確かにですね。データサイエンスの勉強と家庭の両立について、東京大学のコースをしているときは1日どれくらい時間を割いていましたか?

3-4時間ですね。朝と帰りの通勤で動画を見て、仕事以外の時間はほとんどプログラミングしかしてない状況でした。
だから負担をかけてしまっていた家庭には感謝です。

仕事外で3-4時間とるのも覚悟がいりますね。
では、次に仕事について聞かせてください。今はデータサイエンスを使ってどんな働き方をしているんですか?

実際はデータサイエンスというよりデータアナリストという感じが強いです。

なるほど。

今はリハビリテーション部のデータ分析から少し超えて、職場内のいろんなデータを使って、経営判断や今後の方針とかの参考資料になるようなものを、統括部⻑と一緒に作ってるっていう感じです。具体的には、患者さんのレセプトデータを使って、この診療科の患者はどのエリアから来てるかとか、時期的にどう変わってるかを分析してます。入院がどういう紹介か、どの病院から来てるかとかは大体どの病院もあると思うんですけど、実際どうなっているか、どう推移しているかなどの資料を見せたりです。そしたら、病院の方針の議論に繋がったりします。

経営にも価値を出しているんですね。

あと、最近は病棟看護師の忙しさ指数を作ったりしています。

病棟看護師の忙しさ指数・・・? 規模感がすごそう…

後で深掘りするとして、順を追わせてください。データサイエンスって研究に活かすものかなって思っていました。MITTIさんはデータ分析に関して、どんな仕事から始めたんですか?

PROFILE

  • MITTIさん

    2002年に理学療法士として回復期リハビリテーション病院に就職。
    脳卒中患者を中心に診療を行いながら、データサイエンスを用いて研究活動、病院経営の意思決定に繋がるデータ分析などの価値を生み出している。