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”面白いことに躊躇なく行動”を体現!! シンクタンクで働く理学療法士

インタビュイー: 松尾厚さん
インタビュアー: 舩津康平

“多くの場面に直面すること” 自分でブレーキをかけない資格・経験の活かし方

先生はもちろん私の仕事を否定しているわけではなかったと思います。逆に私自身が成長するためのきっかけを与えてくれたんだと思っています。

確かに周りが理学療法士や医療職が多い世界だと、理学療法士の経験を他でどう活かすかという視点はなかなか得られないですよね。

はい。私の理学療法士の養成校の同級生20人とは連絡を取り合っていました。働き始めてから8年ほどで、その中から理学療法士以外の仕事をしている人が少しずつ出てきたんですよね。そういった選択肢もあるんだなというのはなんとなくありました。

ふむふむ。

でも、違う仕事をする同級生の存在や指導教員に言われたからといって、すぐに理学療法士ではない仕事をする考えにはなりませんでした。そこから、理学療法士以外の仕事を考えるというより次のステップを考え出しましたね。

大きな出来事だったんですね。

はい。あと大学院の同級生たちは、本当にいろんな方々がいました。今村純平さんも同級生なんですけどね。他には例えば医師、歯科医師、看護師長、薬剤師といった専門職や、公認会計士、税理士、社労士といった幅広い職種の人たちが同級生でした。レセプトを分析するような班にいる医療事務の方もおられました。何か医療に関連した職種でも、様々な選択肢があるんだなと改めて感じましたね。

私も現に通っていますが、おっしゃる通りに多様な背景を持つ方がおられます。

ですよね。そして、その同級生の中に、介護施設のコンサルティング会社を経営している方もいました。介護施設のコンサルティングって知らないので、一見怪しげな感じがしますよね。その当時、正直な感想としては、「コンサルって一体何だろう?」と思いました。
話の流れで介護のコンサルティングの現場に同行させてもらえることになりました。たまたまその施設のコンサルティングの場面では、「利用者が実際にそのサービスを受けるとどのような効果があるのか、成果を出して地域にアピールするような仕組みを作り出しましょう」という話をしていました。そうすると、より多くの利用者が施設に来てくれて結果として施設の運営がうまくいくようになる、という話でした。

そこから何を思ったんでしょう?

それって結局、私の専門である理学療法の知識やリハビリテーションに関わった経験が役立つことをしているんですよ。マンツーマンで理学療法を提供するだけではなくて、介護施設に行き、仕組みを考え、適切なメニューや指導法を提供することで、間接的に自分のノウハウや経験を広げることができると感じました。

病院の次に勤めたと仰っていたコンサルティング会社はここの事ですね。

はい。大学院卒業時にそのコンサルティング会社に就職することになりました。自分の経験も活きそうだし、やり方さえ学べばできそうだなって思ったので、転職したんですが周りからはかなり反対されましたね(笑)

これも面白いことに躊躇なく行動したということですよね。そこでは何年務めたんですか?

4年間ですね。コンサルティングの会社に入って1年ぐらい経ったときに、保険外のリハビリ施設を作るっていう話になったんです。今でこそ多くありますが、当時は九州には無かったんです。そこでセンター長として、施術も担当しながら、コンサルティングも兼任で3年間やりました。

当時なかった保険外リハビリ施設をするのに不安は無かったんですか?

職業を失う不安みたいなものは全く感じなかったです。僕は以前10年間働いていた病院がとても好きな場所で、今でもよく伺っているくらいなんです。もし失敗してもその病院に頼み込んだら働かせてもらえるかもしれないし、理学療法士の資格を持っている以上何とか生活できるぐらいにはなるだろうと思っていました (笑)

それは前勤めていた病院と良い関係性を維持しているということですよね。繋がりを維持するためにしていることはありますか?

会いたいと思ったときにはちゃんと会いに行って、何か報告したいことがあれば報告する。それだけですかね。でも、結構重要だと思います。この業界は狭いから、転職したとしても関係性を保つのは大事だと思います。

それは意識的にしている行動でしょうか?

意識的なものというよりは、無意識に行動している部分が大きいです。でも考えてみると、自分から積極的に会いに行く傾向があると思います。この人の話を聞きたいと思ったら、積極的に会いに行くようにしています。自分が好きなのは、前向きな話ですね。前向きな話をする人とは話が盛り上がりますし、基本的には好きな人に会いに行っています。

なるほど。そこから九州経済調査協会に再転職したわけですね。なぜですか?

はい。まずコロナ禍が長く続きましたよね。医療が逼迫すると経済の圧縮が起こるし経済を盛り上げようとすると医療が逼迫していて、医療と経済はこのような場合にトレードオフの関係性にあると思ったんです。これは経済のことを知れば社会のことがかなり分かるんじゃないかと思ったんです。そして、たまたま九州経済調査協会が人材募集を出していたんです。先ほども言いましたが、資格や経験があるからどんどん挑戦していきました。

そのような流れで転職したんですね。

そうですね。考えてみると僕は比較的、自信がある方かもしれないです。

それは感じていました(笑)

例えば、3年間理学療法士として働いていたならそれは自信を持っていいことだと思うんです。3年間の理学療法士経験と5年間の理学療法士経験の差って業界内ではもちろん大きいと思うんですけど、他の業界からしたら差がわからないと思うんですよね。だからあと何年経験したら、次の行動を起こすって言っている人は、先延ばししているだけだと思うんですよね。

これまでFUree worKUでは多くインタビューをしてきましたが、”自分がしてきたことに自信を持っている” というのは、ワクワクする働き方を実現している人の共通項だなと感じます。
次に、理学療法士の資格や経験を活かすためには、「〇〇は自分には出来ない」という自分の中でかけている無意識の制限を外す必要があると思います。松尾さんはそれを外すために心がけていることはありますか?

頭で考えて制限を外していくというよりは、直面することですかね。

“直面すること”ですか・・・?

PROFILE

  • 松尾厚さん

    2007年に理学療法士免許を取得。

    同年から10年間早良病院で勤務し九州大学大学院 医療経営・管理学専攻へ社会人入学。

    卒後は株式会社スターパートナーズへ入社し、医療介護のコンサルティングと脳梗塞リハビリテーション福岡のセンター長を務めた。

    2021年から公益財団法人九州経済調査協会へ入社し現在に至る。