ジユウニハタラク

育児をしながらどのようにキャリアと向き合うか?

インタビュイー: 濵﨑夕華さん
インタビュアー: 縄田佳志

出産や育児を経たうえでのキャリアビジョン

今度は濵﨑さんの理学療法⼠として、今後描いていきたいキャリアの話を聞きたいと思います。出産も控えているかと思いますが、理学療法⼠として⾃分はどう⽣きていきたいなとかあれば教えて下さい。

そうですね。今まで地域包括とか回復期、療養病棟と経験してきましたけど、子どもがいるなかでこれからガンガン働けるかと言うとそうではないので。ただ、その中でどうやって理学療法士として生き残っていくのか考えていて。今、在院日数が短くなっているなかで、地域にどんどん流れていっている印象があって。これから介護保険領域の需要も増えてくるんじゃないかなと一つの予測としてもっています。今までの経験も考えて、今度は在宅分野の領域で経験を積んでいきたいなと思っています。自分の視野を広げる意味でも。 

色々な領域での経験を積むことは大切ですよね。
表現が難しいんですけれども。⼀⼈⽬のお⼦さんを出産された時も早く復帰したいとか、空いた時間の中で⾃⼰研鑽積みたいとか。今、二人目のお⼦さんがお腹にいらっしゃる中で、今後のキャリアを考えてらっしゃるじゃないですか。濵﨑さんからみて理学療法⼠の魅⼒じゃないですけど、何がその様な気持ちを掻き立てるのかを知りたいです。

ずっと思いが続いている訳ではもちろん無いですよ。思いが強いときとか弱いときとか、この十年で波はありました。正直、理学療法士としてじゃなくて一般企業で働ける自信が無いのもあるかもしれないですが、やはり理学療法士になりたいと思ってなっているので。両親から安くない学費など、支えてもらって理学療法士になっているので、しっかりと続けていきたいなという気持ちもあります。あとはやっぱり楽しいんですよね。でも自分が楽しいと思っている分野がこれから先ずっと生き残るわけではないから、ちゃんと業界の流れを見ていかないといけないなとも思うし。元から“なんで”を突き詰めるのが個人的に好きで、考えるのが好きなのもあるかもしれないですね…

改めて聞かれると難しいですよね!笑
会話ででた、楽しいというのは大事ですよね。この楽しさは、担当した患者さんの理学療法で、なんでこうなっているか突き詰めていくのが、性格とフィットしているといったところですか?

ですね。色々なアプローチ法があると思うんですけど、なんでそれが良いのかは新人のときに分からなくて。でも、そこを突き詰めていくならこういう勉強をしたら良いよとか、こういう勉強会に言ってみたらとか、周りにアドバイスをくれる先輩がいたから、色々な分野を勉強してそこから楽しくなったし。それがなかったら、もしかしたらここまで続いていなかったかもしれない。人それぞれアプローチ方法は違うと思いますが、こういう考えのもとでアプローチできるんだなというのが分かったのも良かったのかもしれない。あと、そういうのを教えてくれる先輩や先生は、いくら歳を重ねていても少年のようにどっぷりと臨床に向き合っている方だらけで、自分は当時刺激を受けて、そういう考えに至ったんじゃないかなと。

そういう先輩とかの出会いが、今の⾃分の臨床感っていうのに影響を与えてる感じでしょうかね。

それは確実に間違いないかなと思います。

⼤事ですよね。そういう⼈と出会えるか出会えないかって、今後の⾃分のキャリアであったり、⼈⽣を左右しますもんね。
ここから少しずつ締めの⽅にシフトしていこうと思うんですけど。今回、働くママさんPTへのインタビューといったところで、ママさんPTがより働きやすくなるにはどういったことを、組織として取り組んでいくのがいいのかなって。考えがあれば教えていただきたいです。

働くママだけにフォーカスを当てる環境の配慮だったら、他のスタッフとの歪みができちゃうから。働くママもそうだし、働くパパも独身の方でも、何かあったらすぐにフォローアップできるような人員配置とか。難しいかもしれないですけど、体制を整えておくとか。そうしておくとお母さんたちも働きやすくなるのかなと。ちゃんと言えてるかな?笑 

そういうことですね!確かに、ママさんへフォーカスを当てすぎてしまうと、それがかえって働きにくさとかを助⻑する可能性もあるってことですもんね。

そう、そうですね。働くママさんだけにフォーカスを当てすぎると、今の部署だと私しかいないので、私ばかりが優遇されてしまうのも違うと思うし。若い子は若い子で自分の時間だったり、自己研鑽に時間を当てたいとか、その時期にしたいことがあるはずなので。必ずしもママさんだけに配慮して欲しいとかそういう訳じゃなくて。皆が欲しいときに休みがとれて、こういう働き方がしたいという声が届くなど、個別性が尊重されるとですね。もちろん簡単じゃないことは承知の上で話してますけど。そうなればいいなって思いますね。

それこそ話の中盤にあった、“お互い様”のマインドセットですかね。それがより皆が働きやすくなるための⼀歩なのかなっていうところでしょうかね。
濵﨑さんと似たような境遇とか、これから経験していく方へ、濵﨑さんの視点でアドバイスをいただくことは可能でしょうか?

アドバイスとかおこがましいんですけど…笑
色んな人がいるから割り切ることが大切だと思います!笑

これは掘り下げるのが難しい内容ですね。笑
割り切るっていうのは、いろんな意⾒がある中でも、あまり気に留めすぎなくてもいいよって⾔った意味ですかね。

そうです!そうです!
色んな意見があるし、色々なことを言われることもあるし、もちろん配慮してもらえてありがたいと思うことも有るし。百人いれば百通りの考えがあるから。一人目の産休や育休をとった時、特に子どもが0・1歳のときはちっちゃな一言に対してすごく悩んで。相手もそういうつもりで言っているわけじゃないとは分かっていつつも。でもまぁ色んな人がいるんだなと、割と最近は気楽にと言うか、気にせずいれていますね。

ありがとうございます。本当に大事ですよね…
これまで難しい質問に対して、分かりやすく答えて頂いてありがとうございます。有る種、一番最後が難しい質問かもしれませんが、濵﨑さんにとって“ジユウニハタラク”とは何でしょう?

“ジユウニハタラク“ですよね…
セラピストになったころの私というのは、理学療法士である以上、医療は常に進化し続けるから、勉強し続けなきゃいけないとうのがすごく強かったんですよね。出産育児を経験して、必ずしもそれが絶対できるわけじゃないし、もう一つは、報酬として返ってくるわけでもない。理学療法の分野がだんだん多岐に渡っていることを考えると…”ジユウニハタラク“というのは、ライフプランの中で、一生懸命注げる時もあったり、そうじゃない時もあったり、違う分野にいってたり、そういう中でも認め合いながら働けるのが”ジユウニハタラク“ってことかな。難しいなぁ。笑

難しいテーマですよね。濵﨑さんのコメントから、こうあるべきとか、これが望ましいとか潜在的に抱えている価値観で、息苦しくなり過ぎず、広い視点をもつことの重要性を勝手に感じとりました!本日は長時間のインタビューありがとうございました。

ありがとうございました。お疲れさまでした。

PROFILE

  • 濵﨑夕華さん

    平成25年
    理学療法士免許取得
    平成25年〜平成30年
    医療法人原三信病院 香椎原病院勤務
    平成31年〜現在
    医療法人相生会 福岡みらい病院勤務
    現在2児の母