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”面白いことに躊躇なく行動”を体現!! シンクタンクで働く理学療法士

インタビュイー: 松尾厚さん
インタビュアー: 舩津康平

大学院の歓迎会で言われた衝撃の一言・・・

FUree worKUはインタビューの事前打ち合わせをしていますが、実は打ち合わせで、私と松尾さんが大学院(https://www.hcam.med.kyushu-u.ac.jp)の同じゼミの先輩・後輩だったということが判明しました(笑)
その指導教室の教授は経営するにも、自分のキャリアを積んでいくにも、ビジョンとミッションがないと行動が行き当たりばったりになるといつも仰います。はじめに松尾さんに人生のビジョンやミッションがあれば教えてください。

ビジョンという形で考えると、自分が面白いと思うことに躊躇なくすぐに行動できる自分でありたいと思っています。個人としてそんな風に行動するのはなかなか難しいので、そのような風土のある組織の中で仕事をしている状況です。

なるほどですね。ありがとうございます。インターネット調べた情報では読み取れなかったのですが、現在のお仕事について詳しく教えていただけますか?

現在の仕事は九州経済調査協会という公益財団法人に所属しています。いわゆるシンクタンクで、主に行政や企業などの調査・研究を行っています。具体的には、福岡県や福岡市といった行政の委託事業として調査や計画策定の支援を行ったりしています。アンケートやヒアリングなどを行って、データを収集し、それを報告書等にまとめ、プロジェクトを完了させるという形です。調査・研究の依頼は、直接来ることもあれば、企画コンペのような形で提案し、その結果として調査を受託することもあります。

具体的にどのような計画や事業なのでしょうか?

例えば、私が関わっている事業として、ある自治体の地域包括ケアの推進プロジェクトなどがあります。医療、介護、障害、在宅ケアなどの分野の専門職が集まり、地域包括ケアの推進について話し合い、その結果を元にプロジェクトを推進します。その事務局的な役割として資料作成や会議の運営などを行っています。また、そのほかにもある県からの委託を受け、ジェネリック医薬品の普及率の調査などを行ったこともあります。

それは理学療法士の枠としての仕事ではないですよね?

基本的には理学療法士として採用されていないので、名刺にも理学療法士って書いてないですね。もちろん、自分が理学療法士として医療や介護の分野で直接的にサービスを提供してきた経験や、介護サービスのコンサルティングの会社で働いていたこともあるので、その経験が活きることはあります。ほかにも色んな調査を依頼しているので、最初はすごい職場だなと思いましたね。

どんな仕事をしているのか、また、シンクタンクが何をしているのか広く外に出ていない情報ですよね。実は私自身も大学院に入るまで、そんな世界があることを知りませんでした。時系列としては病院勤務→大学院→シンクタンクですか?

遡ると、まず理学療法士の免許を取得し、地域の病院で勤務していました。主に回復期病棟に勤めていました。また、病院内での通所リハビリテーションの業務も2年間ほど行っていましたね。

病院には何年勤務されていたんでしょうか?

その病院で10年間勤め、そのうちの最後の2年間で九州大学大学院に行っていました。

なぜ大学院に入学したんですか?

理由はですね、私は1年目から積極的に臨床研究を行っていたのですが、レベルが上がるにつれて2つつまづいたんですよ。それが統計と英語での論文執筆です。この2つは誰かに教えてもらわないと自分ではできないと思いましたし、自分の周りに教えてくれる人がいないことに気づいて、大学院に行こうと思いました。

なかなか指導がないと難しいところですよね。

私も初めは理学療法士の修士課程を探しましたが、福岡市西区から通える範囲には無くて、範囲を広げて探していると九州大学を見つけました。九州大学大学院医療経営・管理学は社会人でも入学可能で、医療従事者であれば、火曜日だけ出席すればよいという条件でした。それで、私がその時研究していたリハビリと栄養のテーマに対して教えてくれる先生がいると連絡をもらったんです。

その後、九州大学の教授と話をし、「君がやりたいと思っていたさっきの二つ。統計と英語論文執筆はここで解決できるよ」と教えてもらいました。それで、条件にあう九州大学大学院に進学することになりました。

先ほどの話では、病院勤務の最後の2年間で大学院に通われていたとのことでした。この2年間の変化をお聞きしたいです。指導教員から示唆を得たんでしょうか?

実はそういった示唆は特に受けていないんです。ただ、思い出すのは新人歓迎会での一件ですね。コロナの前でしたから修士課程や博士過程の人たちも参加している会で、その先生に乾杯の直後、挨拶に行ったんです。
そこで先生から「松尾くんはいつ理学療法士の立場として働くのを辞めるの?」といきなり言われました(笑)

衝撃の一言ですね・・・。

当時所属していた病院にシフト上の配慮をしていただいていたので、卒業してからは大学院で得たものをどう還元するかを考えていました。だからこそ、理学療法士としての仕事を辞めるなんて考えたことがなかったんです。でもその一言によって、現状を続けることが本当に良いのか、それとも新たな道を模索するべきなのか考えさせられました。

その発言の真意は何だったんでしょうか?

PROFILE

  • 松尾厚さん

    2007年に理学療法士免許を取得。

    同年から10年間早良病院で勤務し九州大学大学院 医療経営・管理学専攻へ社会人入学。

    卒後は株式会社スターパートナーズへ入社し、医療介護のコンサルティングと脳梗塞リハビリテーション福岡のセンター長を務めた。

    2021年から公益財団法人九州経済調査協会へ入社し現在に至る。