転職

警察官と准看護師を経験した理学療法士が語る仕事の魅力

インタビュイー: 江副浩一郎さん
インタビュアー: 樋口周人

働くスタッフからも選んでもらえる職場環境を作る。

ここまでのお話を聞くと、理学療法⼠がどれだけ良い仕事かということが俯瞰的に理解することができました。今のお仕事についても目を向けていきたいのですが、現在は新中間病院でご勤務されていると思うのですが、どういった⾯で新中間病院を選ばれたのかなっていうのが気になります。

⼀番はご縁があったということだと思います。臨床実習のときに、新中間病院で実習をさせていただいたんですが、本来は違う実習先だったんですね。

なぜ変更に?

実はそのタイミングで、⼦供が⽣まれまして。 本来なら⻑期実習で他府県の施設に⾏く予定だったんですが、⼦供が⽣まれたばっかりっていうところで、⻑期実習は、近隣がよかろうということで、学院の先⽣からの配慮があって、新中間病院で臨床実習ができることになったんです。新中間病院は、そのセラピストの思いであったり、考えであったりっていうのを、尊重してもらえるんで、もちろん患者さんにとって不利益になるようなことであれば、そこはきちんと指導は⼊るんですけど、その寛大さが魅力に感じました。

確かにあまりにも指導者の色が入りすぎてしまうのも良くないのかもしれませんね。

例えば、1年⽬2年⽬のときって、臨床で長く理学療法している先⽣たちから⽐べると、評価して問題点抽出してっていうところが⽢いじゃないけど、経験値がないので、患者さんをうまく⾒れてないっていうこともあると思うんです。だとしても、まずはやってみなさいっていうところで、しっかり経験させてもらえるというのが大きいですね。患者さんが良くなるというのも大事ですが、若いセラピストの成長を考えてくれているというのが肌で感じることができているのが、新中間病院の働きやすさだと思います。

今のような経験を経て、どういうことを臨床で⾃分は⼤事にしようということはありますか?

新中間病院にお世話になって、それこそもう10年経って改めて思うのが、患者さん第1のリハビリの提供ですよっていうところなんですよね。自分のなかではそこが⼤きな柱としてあるんですけど、その次に、スタッフからも選ばれるようなリハビリセンターでなくてもいけないということですね。患者さんからもスタッフからもここがいいっていうふうに思えるような職場環境を作るっていうのが、今⾃分の中では⼀番⼤きな⽬的、⽬標になっています。

私もスタッフに選ばれるスタッフ、スタッフに選ばれる職場というのが目指すべき形だと思います。これは何も仕事において病院に限った話しではないですよね。

中で働いている人にはごまかしがきかないですからね。やはり内部評価が⾼いところは絶対外部評価も⾼いと思っているので。

でも、そこが難しいのではないでしょうか?スタッフ全体の意識やレベルを上げるというところが。

患者さんからっていうのは結構選ばれるんですよね。樋口さんも⾔われたように、スタッフから選ばれるっていうレベルに持っていくのがなかなか難しいですね。

んー。どこでも同じような課題を抱えているような気がしますが。色んな価値観、キャパシティ、熱量の方々がいらっしゃいますからね。

やりがいであったり、魅⼒であったりっていうのをスタッフに伝えていく⽴場になってきて、まだまだ考えていかないといけないところなのかなっていうふうには思ってます。

内部評価の高いリハビリセンターにするために江副さんが実際に取り組んでいることはなんでしょうか?

私⾃⾝も経験したことなんですけど、他部署との交流が上手くできていないと病院として、質の高い仕事というのはできないと思ってるんです。そこは縦の繋がりもだし横の繋がりもどちらも大事ですよね。

特にどの部署と交流を図るというのはありますか?

准看護師を私がしていた経験もありますので、そこで理学療法士の方とミスコミュニケーションが起きることがよくあったんですね。感情で話すのではなくて、患者さんに必要なことは何なのかっていう視点で看護師さんとは特にコミュニケーションを取るようにしています。
他部署のスタッフ間でコミュニケーションを取りやすい環境を作っていきましょうっていうようなお話は、他部署の管理職と話をさしてもらったりはしてますね。必要であれば私がパイプ役となって後輩へ情報共有をしたりしています。

警察官、准看護師、理学療法士を経験されてきて、理学療法士が一番良いとおっしゃっていただいているのですが、色んなお仕事をしてきたからこそ県士会でこんな事業をするといいのになといった案などありますか?

まさに今受けている、こういった事業がもっとあってもいいなと思います。こういった事業というのはインタビュー形式の事業というわけではなくて、学術的な面以外で理学療法士としての資質を上げる可能性のある事業のことですね。

私達が技術職、専門職になるので研修会の数はとても多いですよね。

私も院内で接遇に関する研修会を企画したことがあったんです。テクニカルな研修会ももちろん重要ですが、社会人の土台というか、考え方を学べるような企画、事業がもっとあってもいいのかなと思います。

もしかすると、学⽣や別の仕事をされて、理学療法⼠を⽬指す⼈たちがこの記事を見ているかもしれないのですが、理学療法⼠を⽬指す特に若い⼈たちに向けて、今のうちに何を意識した⽅がいいとか、アドバイスしていただけないでしょうか?

1つは社会⼈としての土台作りですよね。色んな世代の方とのコミュニケーションや、⼈間関係を上手く築くことができなくて、挫折してしまったとかっていう話を多く聞くので、⽇頃の⽣活の中で人との関わりを大事にしていければいいと思います。あとは、自分がなりたいと思って、熱意を持ち続けることができればあとは特別に必要なことはないんじゃないかなと思ってます。

学生時代のアルバイトなんかで、理学療法⼠になったときを想定しながら、丁寧な⾔葉遣いとか練習してみたりとか、工夫はいくらでもできますよね。

意識できればそこまで難しいことではないと思いますね

最後に江副さんにとって”ジユウニハタラク”とはどういうことでしょうか?

ジユウニハタラク=やりたい放題やる。ということではないと思うんです。 必要なのは、与えられた環境の中で、良い結果が出るように、⾃分が正しいと思う仕事を、やり続けるというのが、私にとってはジユウニハタラクだと思います。

PROFILE

  • 江副浩一郎さん

    1997年 京都府警察巡査拝命
    2006年 八幡医師会看護専門学院 准看護師科入学
    2008年   准看護師免許取得
    2008年 小倉リハビリテーション学院
    理学療法学科夜間部 入学
    2012年 理学療法士免許取得
    2012年 新中間病院へ入職

    警察官として2000年の沖縄G8サミットの警衛警護や交番勤務、留置管理官など8年間の勤務を経て、医療従事者への道に進むべく八幡医師会看護専門学院准看護師科へ進学。
    臨床実習での理学療法士との関わりの中で、その魅力に惹かれ、准看護師免許取得後に准看護師として病院で勤務しながら小倉リハビリテーション学院理学療法学科夜間部へ入学し、理学療法士免許を取得する