ジユウニハタラク

女性が働きやすい職場とは?ママさん理学療法士に聞いてみた。

インタビュイー: 加治屋美香さん
インタビュアー: 樋口周人

〇〇の比率が多いほど、女性の立場としては働きやすい

かなりフレキシブルな対応をしているんですね。加治屋さんはこれ以外にどんな要素があれば女性にとって働きやすい職場だとお考えですか?

私自身、他の職場を知らないのもあるかもしれませんが、今の職場がまさにそうなんだろうなとは思います。男⼥問わず⼦育て経験があるスタッフの⽐率が多いのと、管理職や役職者、先輩スタッフに育児経験のある⽅がいるからこそ、イレギュラーなことが起こった時にも、状況を理解してくださり、休みをもらいやすいので仕事と育児の両⽴っていうのを考えたときに私が働いているような職場が良い条件になってくるのかなと思います。

病院の宣伝みたいでしたね (笑) それくらい自信を持って良い職場と言えるのは恵まれていますよね。

悪いこと⾔ってないからいいですよね (笑)

全然良いと思います。一瞬だけ採⽤担当の⼈かなって思うぐらい熱がこもってましたね (笑)

私の職場というか法人内では、毎年回復期病院への新人の配属が一番多く、回復期病院が新⼈の教育機関的な位置になっている印象で、そういう意味でも入職前からこういった病院の情報があったほうが、これから結婚・妊娠出産を控えている若手スタッフには良いのかなと思います。

今まで産休・育休・職場復帰という流れを2回経験してこられた中で今まで感じたこととか、考え⽅が変わったことはありますか?

⾃分が妊娠、出産、(職場)復帰という経験をして、まずは妊娠中や⼦育てをしながら働くことが、⾃分の想像をはるかに超えて⼤変だなと思いました。自分が経験するまでは、正直「時短勤務って早く帰れていいな」くらいにしか考えていませんでしたが、自分が同じ立場になって仕事と子育ての大変さや時短勤務制度のありがたさを感じています。

⼦育てと並行しながらのお仕事で⾃分がここだけは頑張ったと⾔えることはありますか?

職場の⼈事考課の⾯談で毎回聞かれる項⽬ですが…私自身がここだけはと言えることはなく、基本的なことになるのですが、まずは⼦供ではなく自分の体調不良で仕事を休んで迷惑をかけることがないように子供だけではなく自分の体調管理にも気を付けています。業務のことで言えば、もっと効率よく、エラーなくやるということだけは心掛けるようにしています。

キャリアのことについて少しお聞きします。さっきちらっと出たんですけど、学術活動をする上で、育休復帰後で⼯夫されたことってありますか?

これも人事考課でよく聞かれます (笑) 特に仕事の日は家に帰ってきてから自分の時間はほとんどなく、自己研鑽が十分に行えずに育休復帰後も自分のできなさを感じることが多々あります。最近はオンラインでの研修やSNS等での発信も多いため、時間を上手く使いながら自己学習をしたいと思っています。

院内研修会などは開催されているのでしょうか?

あります。最近は業務時間内で開催されていて、研修会も感染対策を行いながらZOOMを使用して行うので、休みの日でも参加できますし、時間的にも参加できる時は極力参加するようにしています。参加できなかった場合は資料をいただくようにして後で目を通せるようにしています。

逆にプライベートな時間はどうやって確保されているんでしょうか?

仕事がある⽇は⼦供の寝かしつけをしながら⼀緒に寝てしまっています。平日休みの日は、色々と必要な用事を済ませて、その後の時間は⾃分のリフレッシュのために使っています。例えば平⽇休みの⽇に子供が保育園に行っている間に家の掃除、食材・日用品の買い物、銀行、美容室に行く、友人と休みが合えばランチに行って何時間も話しをしています(笑)週末休みの日は実家に行ったり、子供と出かけたりしてリフレッシュしています。旦那も私も同じシフト制なので、保育園が休みの日・祝日は、必ずどちらかが休むように勤務調整をしています。

家族全員がお休みという日はあるんでしょうか?

休みを合わせて取らないと基本ないです。なかなか週末は他のスタッフの予定もあるので、休みが取りづらいのもありますが、⽉に数日は、家族みんなの休みが合うように勤務調整をして家族の時間を作ってます。その休みは貴重な休みなので子供の行きたいところへお出かけしたり、遠出したりが多いです。

加治屋さんから産休前の⼥性理学療法⼠の⽅にアドバイスするなら、どんな言葉を掛けますか?

まずは産前から産後の⾃分の体を⼤事にして欲しいです。⼦供が⽣まれると、今までは自分に使えていた時間が思うように使えなくなってしまうので、出産前に思う存分自分の時間や旦那様との2人の時間を楽しんでくださいと言いたいです。あと、産後は旦那様や周りにサポートしてくださる⽅がいたら、あまり無理をせず過ごしていた⽅が後々の体の回復には良いのかなと思います。

出産前後も自分を一番大切にするということですね。

私自身、出産したあとに体が軽くなって楽に動けるようになったので、楽しくて家事全般行っていたのですが、特に2⼈⽬の出産後は後々トラブルがでてきました。思ってる以上に体には負担がかかっているんだなと思い、自分を労わることも必要だなと反省しました。

体の負担的には交通事故を2回経験してるってことですよね。想像できないです・・・

なのであまり無理をせず、過ごしてもらいたいですね。それと職場復帰後にどういう制度が利⽤できるのかを事前に把握したり、育休中に保育園とか幼稚園探したりもできますよね。制度が利⽤できないとか、なかなか休みづらいとか事前に分かっていれば、病児保育の検討が必要かなど、復帰後を⾒据えて情報収集すると良いと思います。

ちなみに、1人目を出産されたのは、加治屋さんがおいくつの時だったのでしょうか?

25歳で結婚、26歳で一人目を出産しました。

その後2⼈⽬も⽣まれて、どんどん⾃分の時間って限られてくるわけじゃないですか。今振り返ればお子さんができるまでの時間でもっと遊んでおいたほうが良かった思われますか?

思います!

それはなぜですか?

海外旅⾏とかもそうですけど、やっぱり結婚して妊娠・出産して独身の時と同じ遊びはできないので、⾃分だけの時間を何も気にせず過ごすというのをもっと満喫しておけば良かったと思いますね。

お子さんが大きくなってくれば時間に余裕が出てくるでしょうから、その時に若いときの後悔を取り戻すことができるといいですよね。羽目を外さない程度にですが (笑)

そうですね (笑)

少し前にお話しされた、エレベーターを使っていなくて少し怒られたみたいなお話しがあったと思うんですけど、周囲からの気遣いが負担に感じるような場面ってありましたか?

回答になっているか分からないのですが、周囲の人から見ると無理をしているように見えることもあると思うのですが、本人はある程度このくらいは大丈夫と自分で判断できると思うし、妊婦なりにあまり迷惑をかけないようにという気持ちもあるので…お互い尊重し合った声掛けが必要かなとも思います。

結婚前にこういうことしておけば良かったというお話しを聞いていて思ったのですが、逆に結婚とか⼦育てという経験を経て今に活きてるというエピソードってありますか?

キャリアを積んでから結婚とか出産っていうのを考える⼈もいるとは思うのですが、どちらかというと私はそこまで考えていなくて、私自身はもちろん仕事も大事ですが、⾃分の⼈⽣の優先順位が上でした。家庭を持ってからは、キャリアを積むことも大事で必要であると思いますが、正直現在は家族の⽣活ありきで仕事をしてるみたいなところもあるんですよね。仕事に対する価値観がずいぶんと変わったのが本音です。

理学療法士としてではなく家族のためにと、働く目的が変わったんですね。

⾃分の同期や後輩が学術活動や新人教育なんかを頑張っていたり、育休復帰後は特に⾃分だけ取り残されてるような感覚になったりもあったのですが、先輩ママさんスタッフと話しをしてそこはもう割り切ることも必要なのかなと思って考えが随分と変わりました。それこそ家族との幸せな時間を過ごすことができるので、それはそれで私の人生なのかなと思っています。

大事な価値観だと思います。

上司とキャリアについて相談したときに「正直今は⾃分の仕事と家庭の両⽴でいっぱいなので、今仕事でプラスアルファ頑張りたいっていうのは正直ないです」って回答したんです。同時に「同期が頑張ってるのを⾒て、⾃分だけ取り残されてる感があったりして、不安になったりもするって」話しも正直にしたんです。そういう話をしてて、勝⼿に涙が出てきたんですよね。だから⾃分が思ってる以上にそういう思いや葛藤が⾃分の中にあるんだろうなって思いました。

同じような思いを抱えて、自分の中でどこかで割り切ってお仕事されている女性理学療法士の方は多いと思います。では最後に加治屋さんにとって”ジユウニハタラク”というのはどういうことでしょうか?教えてください。

個⼈的には、仕事とプライベートの時間は完全に分けたいので、仕事を家に持ち帰るとか、家に帰っても仕事のことをずっと考えるっていうのは、あんまりしたくないんです。
仕事中にやることはしっかりやって、仕事が終わって⾞に乗っている道中ぐらいから、夕食何にしようかくらい、仕事と家庭の切り替えができれば、私の中では自由に働けていると思います。

それは僕も嫌です (笑) 本日は女性理学療法士の胸の内を語っていただきありがとうございました。

PROFILE

  • 加治屋美香さん

    2014年 理学療法士免許取得

    2014年 共愛会 戸畑リハビリテーション病院へ入職 (入職後は回復期病棟で勤務)

    現在2児の母