転職

理学療法士の魅力を再考
他職種を経たから気づくコト。

インタビュイー: 林雄李さん
インタビュアー: 舩津康平

理学療法士の仕事は他の仕事とココが違う

なるほど。あと養成校選びでは、教員も大事だと思います。3年もしくは4年を通じて教員とコネクションを作ることを念頭に入れて入学した人の充実ぶりってすごいと思うんです。この教員とのコネクションという卒後の付加価値を含めて考えると、先程の養成校選びの優先事項はどう変わりますか?

養成校選びは人それぞれだと思いますが、僕は養成校を選ぶ際に経済面の負担を極力少なくすることを念頭に置いていました。コネクションに関しては、このご時世、繋がろうと思えば繋がれる時代なので、養成校選びの段階からあまり多く求める必要はないのかなと思います。理学療法士になってから学会や研修会、Web上の交流会などで少しずつコネクションを作るということも一つの手段と思います。私自身はコネクションを作ることが苦手ですが…

ちなみに、養成校の勉強って実際どうでした?楽しかったですか?笑

覚えないといけないことがたくさんあり私にはとても大変でした。最初は勉強の方法がわからず悩みました。今振り返ったら、楽しかったかもしれないです。勉強は難しかったですが、身体の不思議が理解できるとそれが楽しさに繋がった部分もあるかなと思います。

周りは高卒でそのまま養成校に入ってくる人が多かったと思うんですけどあんまり抵抗はなかったですか?

入学するまでは、もしかしたら自分だけが年上かもしれないっていう考えがあったんですが入ってみたら、自分よりも年上の方が多数いらっしゃいましたので、不安が減ってすんなり学生生活に入ることができた印象があります。

そうなんですね。就職は何を大事に考えたんですか?

実習が急性期の総合病院だったので、実習のイメージがかなり自分の中で強くて、急性期の総合病院を早めに受験しようと決めていました。

今日聞きたかったことがありまして、前職だったら自由な生活とか経済的な余裕を求めて就職を考えたというお話でした。それが理学療法士として就職する時に何か変わったんでしょうか?

理学療法士に就職するときは「自由」や「経済面」はあまり考えておらず、長く理学療法士として働きたいと考えていました。
実習のときの先生から「⻑く理学療法士として働くなら多くの患者さんを経験した方がいいよ」というアドバイスを頂いたので、急性期の総合病院で多くの患者さんを経験して、より多くのスキルを身につけたいという考えがありました。

急性期病院は回復病院と比較すると多様な対象者の方がおられますからね。自身の価値を高めることを重要視する方向でしょうか。
前の自動車工場での仕事と理学療法士の仕事で決定的に違うことってなんですか?

リハビリテーションに「正解がない」ところでしょうか。前の仕事では誰がやっても同じような結果が出ていました。しかし、理学療法は違って、同じ患者さんに対してそれぞれの理学療法士が行った結果の比較ができません。なので、自分のリハビリが良かったのか悪かったのか検証ができず、全く同じ結果が出ないところに面白さがあるかもしれないです。

リハビリテーションは結果に対する不確実性が高いんですよね。逆にこれが理学療法士のやりがいでもあるんでしょうか?林さんが思う理学療法士のやりがいはなんですか?

いろいろな考えを巡らして、仕事ができるという部分は一つのやりがいとして感じます。多分皆さんも経験あると思うんですけど、「おかげさまで良くなりました」と言われるときに、嬉しいは嬉しいんですけど、自分じゃなかったらもうちょっと良くなったんじゃないかなとか考えます。だからこそ違う患者さんには、こうやってみようとか試行錯誤や違う考えを巡らして、仕事をするという部分も一つのやりがいとして感じます。

そこは一つやりがいですね!似た言葉ですが、前職と現職の”充実感”に違いはありますか?

以前の自動車関連の仕事も充実感はもちろんあったんですけど、今の理学療法士としての仕事は、違った充実感がすごくあります。
例えば、元々仕事をされている患者さんが、仕事復帰された様子を何回か見たことがあるんですけど、仕事をされているときの表情や姿は、病院とはまるで違います。そういう姿を見ると、あのときのリハビリに自分が携われてよかったという充実感があります。以前の仕事とは違う充実感ややりがいをすごく感じます。

直接人の役に立ててるって実感があるってことですね。ターニングポイントとなった3.11のときに思った人の役に立ちたいっていう気持ちは、理学療法士になった時点で割と達成されてるのかなって思ったんですよ。そこで、今働いている中で仕事に何を求めるかは以前働いていたときと今の理学療法士の仕事をしてるときで、どんな変化がありますか?

少しでも役に立てていることができていれば嬉しいです。以前までは自分の仕事に誇りをあまり持っていなかったですが、今は理学療法士として誇りを持ち、僕にしかできないことは何かを考えて仕事をしている部分は変化だと思います。

多分、理学療法士を目指している学生さんとか、現職で理学療法士でない社会人の方は実際理学療法士として働いていないから伝わりづらいのかなと思うんですよね。 10年前の林さんみたいに人に役に立つ仕事をしたいと思っている人に何かを伝えるとしたら、何を伝えますか。

感謝される面はとてもいい職業ですが、その反面、患者さんの死に直面することもあります。ポジティブな面とネガティブな面を踏まえてみるといいと思います。医療は日々進歩していて、理学療法士の方々は自己研鑽している人がとても多いです。私はあまりできていませんが、働きながら研鑽することも必要だと思います。

今は仕事の幅が広がってる中で、医療として関わる病院勤務の場合ですね。

はい。サラリーマン時代と比較して、自分で考えながら仕事ができるっていうところは魅力ですかね。

もう一つ!理学療法士になってからも、もっと人の役に立ちたいと思って違う仕事をしたいって考えたことありますか。

病院以外で理学療法士として仕事をしてみたいと思うことはありますね。病院勤務だと入院前や退院後のことをあまり知らないからですね。

職種自体は変えずにってことですね。今のお話は理学療法士の仕事が対象とする年齢や活躍の幅を物語ってますね。
では最後。林さんにとって「ジユウニハタラク」とはなんですか?

自分の能力がどこで発揮できるかを見極めて、その能力を発揮できる場所で働くことだと思います。

理学療法士一筋ではない林さんのキャリアをお聞きしました。理学療法士のポジティブな面をより浮き彫りにできた回でした。

PROFILE

  • 林雄李さん

    高校卒業時に調理師免許取得し、自動車関連会社へ就職。

    約3年働いた後に理学療法士を志し、現在は福岡県内の急性期病院で勤務している。

    理学療法士として臨床・研究と広く活躍している。