ジユウニハタラク

「デザインは自己表現の場」
デザイナー ✕ 理学療法

インタビュイー: Nopposan
インタビュアー: 樋口周人

熱中=ジユウニハタラク

“自己表現”というキーワードは今回のインタビューでもでてきましたが、具体的にどういうことでしょうか?

おそらくほとんどの病院って、業務に全く関連性のない趣味活動や副業なんかって本業がおろそかになるっていう考えを持つ⼈って結構いると思うんですよね。(※ 副業を推奨する表現ではありません。)

多いイメージはありますね (笑)

理学療法士としての自己表現の場って学会発表だったり論文書いたりって方法がほとんどだと思うんですよね。ただ、そういった方法が苦手な方がいらっしゃるのも事実じゃないですか。

多くの方がそうなのではないかと思います。

僕としてはデザイナー活動を通して、自分自身を”自己表現”する場が得られたと思ってるんですよね。

なるほど、具体的にそれはどういったメリットになるんでしょうか?

それは間違いなく、自分に自信がつくことじゃないですかね。数値化して表すことは難しいのですが、医療従事者以外の方とお話ししたり、自分が伝えたいことを常日頃から発信するのに慣れているので、病院で働いている時も、業務の中でもう少しこうしたほうが効率が良くなるんじゃないかとか、自分が考えていることは物怖じせずに伝えることができています。

なるほど・・・たしかに学会発表や論文執筆以外で自分の存在を発信する場を持っているというのは、巡り巡って理学療法士としてのお仕事に良い影響を与えているのかもしれませんね。

理学療法士の勉強をしっかりしないとダメだみたいな感じではなくですね、どうしても得意不得意があると思うんですよね。

Nopposanのように院外での活動で得た自信が病院でのお仕事につながるというケースがあってもいいですよね。

意識の問題かもしれないですが、病院で1日8時間しっかり働いている時点で、その中で勉強ってできてると思うんですよね。そこで知識や技術も増えてくるわけなので、全く別の視点がプラスアルファされることで理学療法士として成長できるんじゃないかなとは思ってますね。

その人らしさは出てきそうですよね。

もちろん僕のような意見を否定する方ってのはいらっしゃるのかも知れませんが、個人的には休日を潰してデザイナー活動を頑張ってきた時間っていうのは、たまに気力がなくなっちゃうデメリットはありますが、それ以外は自分にとって圧倒的にメリットが大きかったと思ってます。根本的に好きなことをしているのでキツイと感じたこともないですし。

Nopposanの今の状況で、理学療法士というお仕事とデザイナー活動の双方での経験がどちらにも還元されている印象を受けるのですが、もっと直接的に今のデザイナー活動を生かしてPT業界に貢献できたらいいなと思っていることやアイデアってあったりするんでしょうか?

僕の周りや少し若い世代でも、理学療法士協会の活動に興味を示さない同僚や後輩が多くなってきている印象があるんですけど、どちらが良い悪いではないですが、若い世代の興味・関心を引くという意味では若者向けになにか発信している人たちを使って協会活動を盛り上げてもいいんじゃないかなとは思いますよね。

とても柔軟な発想で参考になります。目的によりますがタイアップを増やしていくのも1つの手かもしれませんね。

そうですね。それこそ僕の養成校でもカフェとタイアップしてオープンキャンパスとかしてたりしたんですよね。実際それでたくさんの高校生とか来てくれてたりしたので、“まずは知ってもらう”という目的では良い方法だったなと今になって思いますね。

Nopposanの作品って過去に遡っても、色んなテイストのイラストを描かれていいらっしゃいますよね?一般的なデザイナーやイラストレーターさんって代名詞となるような作品でInstagramが埋め尽くされている感じがするのですが、そのあたりは意図があったりするのでしょうか?

実際のところ意図はないです。むしろ他のデザイナーさんが発信されているように作品のテイストは統一されていたほうがいいとは言われています。ただ、僕がTシャツのデザインならこうゆうイラストがいいんじゃないかとか、状況によって変えてしまった結果だと思います。

いつかは代名詞とも言えるようなイラストを確立させたいという思いはあるんでしょうか?

そこはもちろんありますね。まだ自分の完成形というか型がないからこそ、完成形に向かっていく過程を皆さんに楽しんでいただけたらと思います。

ずっと前からNopposanを知っている人も、これからファンになる方も変化のある作品を楽しんでいただけるといいですよね。

僕自身、色んなデザイナーさんの作品が展示されている美術館に行ったりするんですけど、その時には原田治さんっていうデザイナーの方がいて、その方がおっしゃってたのは、その時需要のある絵が描ければいいっておっしゃってたんですよね。

需要を意識して絵を描く・・・。デザイナーの人がそうゆうこと考えているイメージってあんまりないですね。

ですよね。僕的にはその時代、そのときに合うような、作品が出せたらいいと思ってるんですよね。 ちょうど雑誌の編集⻑の⽅と話す機会があって、その⽅から⾔われたのは、やっぱ統⼀感があった⽅が君を知ってもらえるよって言われて (笑)

普通に考えたらそうですもんね (笑)

はい (笑) それは分かるんですけど、僕としては今のやり方を続けてもいいのかなとは思ってます。

それで結果がでれば、新しいデザイナーの在り方みたいなのが確立する可能性もあるので是非とも頑張っていただきたいですね。

はい。頑張りたいですねそこは。

デザイナー活動を精力的に行われているNopposanですが理学療法士になってよかったこと思う瞬間ってどこにありますか?

自己研鑽はかなりやりやすいと思います。研修会も数や種類が豊富なので、そういったものに参加していく中で自分の成長っていうのは感じやすい環境は整っていると思います。

たしかに、デザインやイラストの勉強って独学以外方法ないですもんね。そうゆう意味では理学療法士業界の学びのコンテンツの多さというのは誇れるところかもしれませんね。

それと理学療法士になる人へのアドバイスがあって・・・

はいはい、どうぞ!

医療業界ってとても閉鎖的なコミュニティだと思うんですよね。だからこそ全く別のコミュニティに参加する機会というのは是非とも作って欲しいと思いますね。似たような分野の人たちのほうが話しも合うっていうのは分かるんですけどね。

なぜそう思われるんでしょうか?

僕だったら、そのさっき⾔ったカメラがきっかけで医療職以外の方の集うコミュニティへ参加することで、新しい世界を見せてもらったと思ってるんですよね。そこでの出会いがきっかけで、今会社を立ち上げようとしてるんですよね。

それは面白そう・・・

それは僕が理学療法士というお仕事をしながらデザイナー活動をしていたことでいただいたお話しなんですけど、デイサービスを今年中に立ち上げる予定なんですよ。

理学療法士とデザイナーどちらも頑張っていたからこそというのが素敵です。

ありがとうございます。もともと医療とアートを繋げたいという気持ちはもっていたので、まさにそれが現実になろうとしていて、僕自身ワクワクしています。

僕はインドアなんですけど、ここまでのお話しを聞いてカメラ買おうと思いました(単純)

きっかけはなんでもいいので外部との交流を積極的に行っていくというのは大事だと思います。

趣味がない僕としては致命的な課題ですが、今日から頑張って探してみようと思います。コロナが収まれば、いずれデイサービスにも取材に伺いたいと思います。

ぜひ、お待ちしております。

最後にNopposanにとってジユウニハタラクとはなにかを聞いて締めたいと思います。

難しい質問ですね。 今の日本って働き方改革とかでどの企業や病院でも定時に帰れるような環境になろうとしていると思うんですよね。でも若い時って働ける体力って残ってると思うんですよ。

たしかに僕も若い時は元気でした。

なので、余った時間や余った体力をフルに活用して好きなことにつぎ込めれる状況がジユウニハタラクってことだと思うんですよね。それがたとえ、趣味だったとしてもですね。

実際に、自分の好きなことを突き詰めてカタチにしている人が言うと、言葉の重みが違いますね。本日はありがとうございました。

PROFILE

  • Nopposan

    2016年に理学療法士として総合病院へ就職。
    その後 Nopposan として福岡県を中心にデザイナー活動を開始する。
    福岡県内のカフェなどの店舗で個展を数多く開催し、最近ではNFTでも作品を出展するなど挑戦を続けている。