ジユウニハタラク

「デザインは自己表現の場」
デザイナー ✕ 理学療法

インタビュイー: Nopposan
インタビュアー: 樋口周人

デザイナー活動を始めたきっかけ

インスタグラマーとして名高いNopposanに今回取材できて光栄です。本日はよろしくお願いいたします。

こちらこそ、緊張してますがよろしくお願いします(笑)

デザイナー活動はいつ頃から始められたのでしょうか?

それこそ理学療法士になってからですよね。イラスト・デザイン自体に興味があったのは小学生くらいの時からで、図工とか美術の時間が大好きでした。

本格的にデザイナー活動を開始されたのが理学療法士になってからというのが意外ですね。日中は仕事に追われてデザイナー活動なんてできないイメージですが・・・

たしかに(笑) ただ、時間が経てば自分の時間っていうのは増えてきますよね。そういった時間を使って、今よりもっと人として成長したいなという気持ちがあって自分の作品をつくったり、その作品をSNSにアップしたりとかしてました。

ここまでの話しだとNopposanが理学療法士を目指したのかがまだまだ見えてこないですね。
偏見かもしれないのですが、デザイナー活動って流行り廃りというか、本業として安定した活躍をするのって難しいと思うんですよね。なので、比較的安定した収入が見込める理学療法士を目指したということではないのでしょうか?

それなんですが、理学療法士になるときは単純に人間の身体の構造に興味があったという理由なんですよね(笑)

え!以外(笑) そうなんですね。

僕、実は高校時代バレーボールやってたんですよね、全国大会を目指すレベルのとこだったんですけど・・・そこで幸い怪我とかはしなかったんですけど、スポーツパフォーマンスをどうしたら向上させれるかっていうのに純粋に興味があって、高校3年生で進路を決める時にバレー選手として大学に行く選択肢もあったんですけど、理学療法士を目指しました。

理学療法士を目指す時点でデザイナー活動をするっていうのは、どこか頭の片隅にあったんですか?

いや皆無っすね(笑) こんなことになるとは1ミリも思ってなかったです。

Nopposanが経済的安定を求めて理学療法士を目指したわけではないことがよく分かりました(笑) 僕のように考える人も多いような気がします。

そこだけは信じてほしいですね切実に(汗)

改めて理学療法士になってデザイナー活動をし始めたというところを詳しくお聞きしたいのですが、 自分の時間を使って人として成長したいと思えるようなきっかけがあったんでしょうか?

きっかけとしては2つありますね。1つ目は理学療法士の学生時代に実習地が沖縄だったんですよね。そこで先生たちとものすごい仲良くなって、色んな先生方の趣味というか遊びに誘ってもらう中で、沖縄の方特有の自分の趣味を大事にする生き方ってかっこいいなーと思わせてくれたのは大きかったですね。

たしかに沖縄らしい感性かもしれませんね。

2つ目は学生時代にカリキュラムの一貫でハワイに⾏けたんですよ、もちろん研修なので、病院の⾒学をしたりとか、ちょっとした実習みたいなことを経験したんですけど、ハワイの病院を⾒学して歩いていると、ふと病院の庭を見たときに患者さんと⼀緒にセラピストが並んで絵を書いてたんですよ。 そのセラピストが理学療法士だったのか、作業療法士だったのかは正直分からないのですが、でもそういう光景を⾒て、理学療法⼠をしながらでも、自分の趣味活動が患者さんに還元できれば、それは素敵なことだなという思いはありました。

なるほど・・・では学生時代からなんとなくではありますが仕事も趣味も頑張る、趣味を仕事に還元するという2つの思いを抱いていてそれが社会人として少し余裕が出てきたタイミングで実現できたと。

その通りですね、あとは外国とかいくと路上で自分の歌を歌ったり、ダンスでバク宙したりとかパフォーマンスをしている人というか、何かしらチャレンジしながら自分の得意分野をアピールしている人たちが多くて、自分もそんな生き方がしたいなとは常に思ってましたね。

よく分かりました。学生時代に外国でみた歌やダンスといった自己表現がNopposanにとってはデザイン・イラストになっているわけですね。

まさにそうです。

現在のようにInstagramで本格的に⾃分が手掛けたデザインやイラストを発信していき始めたのって、働き始めてどれくらいの時期くらいだったんですか?

多分ですけど2年⽬ぐらいですね。Instagramを始めたきっかけは理由としては一眼レフカメラでヒトや街を撮影するようになって、カメラ好きな方の集まるコミュニティに参加する中で、イラストレーターさんと仲良くなる機会があって、そこでイラストを発信する方法としてInstagramを教えてもらったのが全ての始まりですね。

病院以外のコミュニティでの出会いが始まりの経緯だったんですね。色んなジャンルの方とお話しするのは価値観もアップデートされるし、刺激になることが多いですよね。

本当にそうだと思います。

インタビューの冒頭で自分の時間を使って作品を書いているとおっしゃっていましたが、社会人として1日8時間近く働きながら、コンスタントに自分のイラストを発信されてますよね。
コンスタントに作品を生み出す秘訣とか時間管理の仕方があるんでしょうか?

おっしゃるように最初のころは時間がかかっていましたね。ただ、段々書いていくうちに限られた時間でも作品が生み出せるように工夫はしたかもしれませんね。

と、言いますと?

イラストが書きやすいようにある程度テンプレートを作成しておくんですよね。
それをもとに作っていくというか。

なるほど、ベースは作っておくということですね。

そうなんですよね。表現が合っているか分かりませんが、下書きは済ませてある状態って感じです。あとは常日頃どこかでインスピレーションを受けたものを自分の頭の引き出しに入れておいて時間があるときにさっき言ったテンプレートにイメージを映し出すという作業をしています。

実際1つのイラストにどれくらいの時間がかかっているんですか?

実質30-40分くらいだと思いますね。

意外と短い!それだったらお仕事をしながらでも十分にイラストが書けそうですね。

はい。あとは気づいている人もいらっしゃるかもしれませんが、僕のイラストってペンのタッチが太いんですよね。細い線だと細かい作業になって時間がかかるので、日中働いているという自分の置かれた状況を考えると、太いタッチで自分が表現できるような作品に徐々にというか自然にシフトしていきました。

時間がないのを言い訳にせず、時間がない中でどう描くかを突き詰めたからこそいまのオリジナリティのある作品が生み出されたのかもしれませんね。

そういっていただけるとありがたいです。

ここからデザイナー活動について本格的にお聞きしたいのですが、少し前に、千早に新しくできた無印良品のオープンイベントで個展を開催されていましたよね?

はい、ありがたいことに1週間くらいさせていただきましたね。

開催の経緯ですが、Instagramで無印良品のほうから問い合わせがあったんですか?

そうですね、先方の企画担当の方からご連絡があって決まりました。

淡々とお話しされてますが、結構嬉しかったんじゃないですか?(笑)

はい(笑) それはもう嬉しくないわけないですよね(笑)

実際に個展目当てで足を運んでくれたお客様も多かったんですか?

そうですね。ありがたいことに。在廊できる日はInstagramで告知したりとかしていたのでその時に直接会いに来てくれる友人含めお客様は多かったと思います。

店舗の一画に美術館のような役割を持たせて集客をするという発想が素晴らしいですね。普通は来ないような客層に店舗の存在を知ってもらえるというのは無印良品さんからしても大きなメリットですよね。

まさにこの時はそれを感じましたね。こちらからしても無印良品に立ち寄った人の中で、そこで偶然僕のイラストに興味・関心を示してくれるような方もいらっしゃったので、win-winってこうゆうことなんだなと思いました。普段Instagramを使っていない方なんかに知ってもらえたのは大きかったです。

たしかに素晴らしい取り組み、そして関係性だと思います。いやらしいお話しかもしれませんが、無印良品さんからの依頼費ってちなみに・・・どれくらいいただけるものなんでしょうか?(笑)

PROFILE

  • Nopposan

    2016年に理学療法士として総合病院へ就職。
    その後 Nopposan として福岡県を中心にデザイナー活動を開始する。
    福岡県内のカフェなどの店舗で個展を数多く開催し、最近ではNFTでも作品を出展するなど挑戦を続けている。