ジユウニハタラク

大学教授に聞く!? 理学療法と教育とSNS

インタビュイー: 玉利誠さん
インタビュアー: 樋口周人

SNSで広がるキャリア

では最後に1番お聞きしたかった話題について触れていきたいのですが。

はい。どうぞお願いします。

昨年、FUree worKUで最もバズったMITIIさんをSNS経由で講師に選定されていましたよね。公的事業を行うにあたってそういった選定方法は画期的だと思ったのですが、なぜMITTIさんを講師として選定したのか、そして顔の見えないSNSでのやり取りを通じて講師を選ぶことができたのかについて教えてください。

講師に選んだ最初の理由は、私たち(当時は研修部の部長、取材時は学会部の部長)が目的としていることに対して誰が最適な人物であるか、ただそれだけが判断基準でした。SNSはあくまで入口で、MITTIさんの持つ能力と私たちがやろうとしていたことが一致していたから選択したというだけのシンプルな話です。

判断基準からブレなければ方法はなんでもいいということですよね。本質的でとても共感します。

 私たちがやりたかったことは、福岡県の学術研究を推進し、統計学に困難を感じている先生たちの支援を行うことでした。そのためには、学会や研修会で統計学に関する企画を定期的に開催し、それをルーチンとして数年単位で続けていくことが必要だと感じていました。その考えを基に、継続可能性を考慮すると、講師は福岡県の会員であった方が良いと考えていたんです。

選定事項をこうやって改めて聞くと、講師選定をされる方も、テーマに合致する人を見つけるのが大変そうですね。

そうだと思います。そんな中、福岡県で統計が得意な人を探していたとき、SNSでMITTIさんを見つけました。SNSを拝見するだけでも統計をどのように活用しているのかが明確に伝わり、しっかりとしたコンセプトを持っていると感じたんです。

そこからコンタクトを?

そうですね。その後は、今までSNSだけ拝見していた身なので、所属と名前を名乗って、私の考えや計画を説明し、講習会を継続的に実施する可能性があることを伝えました。

SNSで講師を選定されたのはMITTIさんが初めてですよね?

はい。なのでちょっと不思議な感覚でしたね。笑
お互い顔も分からず、そもそも福岡県にお住まいの方なのかも確証がないわけですからね。
 
その後は、MITTIさんのお仕事への取り組みが素晴らしかったです。

そんな場面があったんですね!気になります。

MITIIさんは本当に丁寧な方でした。私が前職の大学に勤めていた時も、わざわざ研究室に直接出向いてくださって、研修会のスライド内容について確認しに来てくれました。
そこまでされるのはMITTさんが初めてでしたね。MITTIさんは福岡県の理学療法士の実情もよく理解してくれていました。

ここでもMITTIさんの人柄が垣間見れるとは思っていませんでした。

選定方法はSNSでしたが、経歴については理事会などでもしっかりと説明していたので、内部でなにか反発があるということはありませんでしたね。なので私からすれば出会いがSNSだったというだけの話だと思っています。

SNSの講師選定では、正確にその方の経歴を確認する必要があると思います。それこそ経歴を偽っている危険性もはらんでいると思っているのですが、SNSでいわゆるホンモノを見極めるコツなどありますか?

実はMITTIさんのSNSは講師選定のときにたまたま見つけたわけではなく、 以前からツイートを通じて彼の思考や志向性などを自分なりに感じていたので、勝手にではあるんですが長い付き合いをしていたような感覚だったんですよね。あとは情報発信している内容も非常に丁寧でロジカルしたので、蓋を開けたらとんでもない人だったということはないと思っていました。

SNSの中にも、人の温かみや丁寧さを感じる部分があるということですね。
ちなみにですが、先日MITIIさんに今度玉利先生のインタビューをしますと伝えたら、「記事が完成したら正座して読みます!」とおっしゃっていました笑

ハハハ (笑) 私は何もしてないですから、全てMITTIさんご自身の努力の結果です。

あともう少しでインタビューは終わりになるのですが、先生から見て、このFUree worKUがもっとこうだったらいいなというアイデアなどあったら教えていただきたいです。

コンセプトとしては理学療法士の多様な働き方を発信していくってことだと思うんですよね。そのため、リーチ対象に経験年数は関係ないと思っていて、だからこそもっと広く知ってもらえるような何かしら、例えば広報誌を配布したりとかするといいんじゃないかなと思います。

たしかに広報誌は着手していなかったですね。

養成校とも調整しながら学生へ配布したりすればもっと広く認知してもえるんじゃないかと。こちらとしても理学療法士の多様な働き方を教える機会がない分、こういったことをしてもらえるととてもありがたいです。

それはぜひさせていただきたいですね。

個人的には理学療法士のキャリアデザインを考えるためのフォーラムがあれば、そこで多様な働き方を紹介し、ディスカッションができると面白いと思いますね。

いずれは学術集会とのタイアップ企画もしたいと思っているので、ランチョンセミナーのような形で開催できたらいいなと思います。

そういったアイデアはどんどんやっていくべきだと思いますし、応援しています。

では、最後に玉利先生にとってジユウニハタラクということはなんでしょうか?

回答が難しいですが、ジユウニハタラクとは、許された範囲内で働くということなのかもしれません。許されるとは、社会通念上許されるとか、自身の家族環境で許されるとか、具体的な事情を考慮した上でのことなのかなと思います。
ジユウというのは個人だけで決められるものではなく、周囲の環境や人々も含んだ状況で選択されるものであり、そのうえで自分が納得して働けること、好きなことをして働けることが理想だと思います。

先生らしい回答で締めていただきありがとうございました。先生のアイデア早速使用させていただきます。

PROFILE

  • 玉利誠さん

    2001年 倉内整形外科病院
    2002年 誠愛リハビリテーション病院
    2006年 福岡国際医療福祉学院理学療法学科専任教員
    2015年 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科理学療法学分野講師
    2017年 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科理学療法学分野准教授
    2019年 福岡国際医療福祉大学医療学部理学療法学科准教授併任
    2020年 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科理学療法学分野非常勤講師
    2022年 令和健康科学大学リハビリテーション学部理学療法学科教授