ジユウニハタラク

理学療法士 × モデル × カメラマンで描く自由な働き方

インタビュイー: 平圭一郎さん
インタビュアー: 舩津康平

「仕事とやりがいの両立」— 多様な経験が生む新たな価値

理学療法士の仕事の好きなところはありますか? 

そうですね。患者さんと関わる中で、ネガティブな人が、運動を通してだんだんハツラツとした表情になっていって、元気に退院する姿を見るとやりがいを感じるし、逆にそうじゃなくて病院で最後を迎えるような方と人生の深い話ができるのもこの仕事ならではかな、と思います。 

職場の会報に、糖尿病委員会で”糖尿病と運動”をテーマに2〜3年かけて3作ぐらい作ったんです。最後の3作目は見開き1ページにしてもらって、普通なら病院で働くスタッフの笑顔の写真とかを載せると思うんですが、僕はめちゃくちゃ決め顔でクオリティ高めの写真を掲載してもらいました(笑)。それは、患者さんや病棟スタッフからの反応も良かったです。 

モデルやカメラマン活動が、理学療法士の仕事に良い影響を与えることもあるんですね。 

ふと思ったんですけど、モデルができる方が病院にいると広告塔として強いですね。逆に理学療法士がモデル活動に与える良い影響はありましたか? 

モデルとして歩く時に気を抜いていると、自分の歩容がおかしくなることがあります。ヒールがある靴を履く時、股関節伸展を意識して正常歩行に近づけるだけで綺麗に歩ける。そんな部分で役に立っているかもしれないです。あとは、モデルやカメラマンの仕事の関係者に「昼間は理学療法士をしています」と言った時に、安心感が与えられるかなと思います。 

意外な着眼点でした・・・!(笑) 

反面、カメラマンやモデル活動の延長でBarの仕事を手伝ったりしますが、理学療法士を知らない人も多いです。そういう方にも、理学療法の大切さを伝えられる余地がまだあるなと感じます。予防領域の理学療法を広められたらいいなとか考えますけど、僕自身知識が浅くて。

伸び代です! ちなみに、モデル活動するときに大事な考え方ってあるんですか。この価値観や考え方持っとかないとダメだ、みたいな。 

写真を見てくれる人に対してどう思われたいかという意識のすり合わせは必要だと思います。例えば、花嫁の綺麗さに着目させて、そこからお客さんが世界観に入るようにする場合、僕が出しゃばらないようにするし、逆に2人がにこやかな楽しい雰囲気の写真だったら僕らも精一杯笑顔作ったりします。 

見てくれる人に対してどう印象を与えたいのかは、最初にカメラマンに聞いて、それを自分が実行するという風には心がけています。 

ニーズからズレないように、ということですね。 優位性を磨くのは重要ですね。 というか、そもそも器械体操されてたんですね(驚)。 

高校までしていました。全国大会にも出られたのはいい思い出です。器械体操で首の骨を折る怪我をして当時リハビリを頑張っていたので、理学療法士をしてみようとなったわけです。今の職場の面接の際に、爪跡残そうと思って「器械体操では取れなかったけど、リハビリでは金メダル取れるよう頑張ります!」と話したら失笑されました(笑)。 

そんな強いエピソードがあったんですね。それを聞くと、平さんの勤める病院では個人的な想いを応援してくれる風土が元々あったのかな?と感じました。 

大々的に言わないですが、風土はあったのかもしれないです。 

職場環境って上司の考え方が大きいですよね。

そうですね。僕、うちの上司はイマドキな感じがするなって思います。 上司との面談では、上司から「自分は理学療法の勉強して、資格を取ったり発表してキャリアの積み方をしていたけど、理学療法の勉強だけしていれば、患者さんに還元できるとは思ってないから、平くんにはいろんな経験をした上で患者さんに還元してほしい」と言われました。 

柔軟な考え方ですね。 

だから、ここはいろんな経験させてくれて頑張らせてもらえる環境だな、良い職場だなとつくづく思いました。そんなことが言えるようになりたいですね。 

私も、平さんのような個人活動を認める職場が良いなと思います。 

うちの病院ではちゃんと申請していれば業務に支障が出ない範囲であれば副業は許可してもらえています。今の活動も理解してもらえているので感謝しています。 

では、平さんの立場から個人活動に対して役職者に伝えられることはありますか? 

それで言うと、先ほどお話しした上司の価値観だったら、僕のような人は職場で生き生きと働けます。自分のやりたいことや、仕事の充実感って「人間関係」と「やりがい」があるのかなと思うんです。ただ、2つを同じ職場で補うって難しいと思います。だから、他に枝を伸ばして色んな仕事を含めてトータルで2つ叶えられたら、人生に対する幸福度もそうですし、職場に対する愛着を持てると考えています。 

「人間関係」と「やりがい」ですか。 

部下がやりたがってることがあるなら、積極的に支援してもらえると、より職場でも頑張れるとは思うんですけどね。でも、下手したらそっちにシフトしすぎて疎かになる場合もあります。僕はカメラやモデルができるからこそ、今こうして仕事も楽しいと感じます。 

めちゃくちゃ素敵ですね。そういう柔軟な扱いを受けた部下が上司になった時には同じように自由に動かせてあげようって思いますもんね。良いスパイラルができるといいですね。 

最後に恒例の質問です! 平さんにとって、「ジユウニハタラク」とは何ですか? 

ぼくにとって自由とは、やりたくないことをせずに好きなことだけってイメージですが、働くとはその逆だと思います。そこを両立させて自由に働くためには、「人間関係」と「やりがい」を求めて、自分がいたい場所で働くこと、なりたい自分を目指すことですかね。働いていたらある程度のストレスはありますけど。それでも、働きたいって思えるやりがいのある仕事をたくさんしている場所のひとつだから僕は今、この病院で働いてます。そしてモデルやカメラマンとして働く現場もそのひとつなので、こうして応援してくださる皆さんと自由に働きながら頑張っていきたいです。

ありがとうございました! この記事を見てモデルやカメラマン活動をする方が増えるかも・・・! 

PROFILE

  • 平圭一郎さん

    2017年 福岡医健専門学校卒業
         理学療法士免許取得
         東筑病院就職