第1章:臨床の片隅で、コツコツと磨いていた「描く」というスキル
今日はよろしくお願いします!まずは簡単に自己紹介からお願いします。
福岡リハビリテーション病院の回復期病棟で働いています、理学療法士3年目の丸平です。よろしくお願いします。
3年目なんですね。普段はどんな患者さんを担当されていますか?
脳卒中の患者さんが主で、たまに整形外科の方も担当しています。年齢層は幅広くて、若い方だと30代や40代、ご高齢の方だと90代の方までいらっしゃいますね。
ありがとうございます。丸平さんは山口県のご出身と伺いましたが、どうして福岡の病院を選んだんですか?
もともと広島に住んでいたんですけど、就職は都会でしたいなと思っていて。最初は東京も考えたんですが、実習で一人暮らしをした時に「ちょっと遠いな」って感じて(笑)。大阪はなんとなく怖いイメージがあって…。それで、近くて都会の福岡がいいかな、くらいの軽い気持ちでした。
実際に福岡に来てみてどうですか?
楽しいです!休みの日は博多とか天神によく行ってますね。
いいですね!職場の環境はどうですか?3年働いてみて、何か感じることはありますか?
本当に人に恵まれてるな、と思います。就職する前は就職前は、職場の雰囲気や人間関係に不安もありましたが、入ってみたら先輩も上司も本当に優しい方ばかりで。そのおかげですごく楽しく働けています。
それは素晴らしいですね。さて、今日の本題ですが、理学療法士をしながらデザインもされているという活動にすごく興味を持っています。そもそも、デザインは昔からお好きだったんですか?
はい。小学生の頃から、雑誌の切り抜きとか画像の加工とかが好きで。中学、高校、大学と、フライヤーとかを作る機会があると、自然と「デザイン担当」みたいな感じになってました。先生や友達に褒められたり、「これもやってよ」って頼まれたりすることが多くて、高校生の頃までは本気で「デザイナーになりたい」と思っていました。
そうだったんですね!一方で、理学療法士を目指したきっかけは何だったんですか?
それはサッカーですね。小学校2年生からずっとサッカーをやっていて、怪我をした時に理学療法士さんにお世話になったんです。よくあるパターンで(笑)その経験から「理学療法士にもなりたい」っていう思いもありました。
そこから最終的に理学療法士の道を選んだのは、なぜだったのでしょう。
進路相談の時に、先生や親から「デザイナーはいつでもなれるんじゃない?」って言われたのが大きいですね。それで、まずは国家資格である理学療法士の道に進もうと。でも、心の中ではずっと「デザインに関わることをやってみたい」っていう気持ちが灯っていました。
その気持ちが、今の活動に繋がっているんですね。病院で働き始めてから、何かデザインに関わる機会はあったんですか?
はい、ありました!患者さんのベッドサイドに貼る装具の履き方のポスターとか、ポジショニングシートとか、そういうのを作るのが結構好きで、自分でやってました。ちょっと可愛くしてみたり、レイアウトを工夫したり…。そういうところで小さくアピールしてました(笑)。
日々の業務の中で、少しずつ表現されていたんですね。本格的に学ぼうと思ったのはいつ頃ですか?
去年ですね。1年目が終わって少し落ち着いたタイミングで、オンラインのデザインスクールに通ってみたんです。基礎だけでも知りたいなと思って。
臨床と並行してスクールに通うのは大変だったんじゃないですか?
めちゃくちゃ大変でした…!1ヶ月の短期集中コースだったんですけど、お金もかかってるし、宿題もすごく多くて。臨床業務もある中で、本当に必死でしたね。終わった直後は「もう無理かも…」って燃え尽きちゃって、しばらく活動から遠ざかってしまったくらいです。あのときは、まさかこんな形で役に立つとは思ってもみませんでした。
その経験があって、いよいよ現在の活動に繋がるわけですね。最初のきっかけは何だったんですか?
一番お世話になっている先輩の一言です。私がデザイン好きなのを知ってくれていて、「こんな絵欲しいんやけど、ちょっと描ける?」って軽い感じで声をかけてくれたんです。それが、研究で使う重心動揺計のイラストでした。
まさに専門知識が活きる依頼ですね!
そうなんです!「やってみます!」と引き受けて、リハビリの知識を総動員して描いてみたら、「え、めっちゃいいじゃん!」ってすごく喜んでくれて。そこから「ここをこう直せる?」みたいに追加注文がどんどん来て大変だったんですけど(笑)。
(笑)。
でも、それが終わった後も、別の方から同じような依頼が立て続けに3件くらいあったんです。本当にただの会話の中から「これもお願いできる?」みたいな感じで。その時に、ふと「ここに需要があるんじゃないかな」って。学会で使うような専門的な機器のイラストって、ネットのフリー素材にはないし、AIに頼んでもうまく出てこない。理学療法士の知識がある私だからこそ描けるものがあるし、両方の専門性を活かせる場所がここにあるのかもしれないって、気づかせてもらえたんです。
Profile
丸平明日香さん
[学歴]
2023年 広島国際大学 総合リハビリテーション学部 理学療法学専攻 卒業
[職歴]
2023年 福岡リハビリテーション病院 入職


