デザイナー活動の今
たしかに素晴らしい取り組み、そして関係性だと思います。いやらしいお話しかもしれませんが、無印良品さんからの依頼費ってちなみに・・・どれくらいいただけるものなんでしょうか?(笑)
それ絶対聞かれると思ってました (笑) 気になりますよね (笑) ただ、期待を裏切るようで申し訳ないんですけど、依頼費というか報酬自体はもらってないんですよね。
え!? そうなんですか!
良い機会なので言っておくと今回の無印良品さんに限らず、福岡だけでなく全国各地でも大体同じような条件のことが多いと思います。
それはなにか理由があるんでしょうか?
明確にはないですが、そもそも僕のようなデザイナーは単独で個展を開催しようとすると、展示費用が必ずかかってくるんですよね。
よく天神ビルの一画で個展が開催されたりしてますけど、あのような場所を借りるにはってことですよね。
そうです。なので今回の無印良品さんは依頼費はないのですが、展示費はかかってないんですよ。
おー!なるほど!いつもはお金を自分で出して皆さんに作品をみていただくのが、ゼロコストに抑えれたと・・・
そうなんですよ。こちらが費用をかけずに、作品を多くの方に見て知ってもらえるというだけで自分としてはありがたかったです。
僕とNopposanが初めて会ったのは天神にあるカーボンコーヒーの展示会の時でしたよね。
あの時も、展示費はかからないという同じような条件だったのでしょうか?
その通りです。ちなみに他のカフェなんかでも個展をしたことがあるんですけどカフェ界隈で個展を開催して集客するというのは結構一般的なんですよね。なのであるカフェからは展示費がタダで、プラスアルファ報酬をもらうとか、あるカフェからは報酬なしで展示費タダとかっていう条件の違いはないと思います。
なるほど、条件設定が業界で統一されてるんですね。たしかに金額が違うと展示場所に偏りが出てくる可能性が十分ありそうですよね。
そうですね。なので福岡市内のお店からInstagramなんかでDMが来たときなんかは、展示費無料なので個展しませんかみたいなのがほとんどだと思います。以前、BARのような場所で個展をしたことがあるんですけどその時も同じような条件でしたね。
これはなかなか聞けない裏事情ですね。
確かにあまり知られていないことかも知れませんね。実際に活動している人じゃないと分からないことも多いと思います。
活動の場と言えば、最近はメタバース内での展示もされていましたね。Nopposanのようにデジタル技術でイラストを書かれるような方とは相性が良いように思ったのですが、実際そうなのでしょうか?
相性は良いと思いますね。実際にメタバース内での展示品を販売しているデザイナーもいるので、実物ではない形でイラストや作品に価値がつくというのは良いことだと思ってます。
少し前まではInstagramがデジタルアートを表現する場として気軽に活用されてきたイメージですが、また新たに自分を表現する場が増えたようなイメージですね。
そうですね。自分の作品がどこで評価されるか分からない部分もあるので新しいことにはなるべく積極的にチャレンジしています。
新しいことって普通だったら周りの人たちの様子を見ながら自分も徐々に参画していくというのが、一般的な人間の性だと思うのですが、Nopposanは見た目によらず行動派ですよね。
かもしれないですね。やる前から色々考えるよりかは、やりながらその都度修正していけばいいだろうと思っているのであまり後先は考えていないかもしれませんね。というのも後先考えずに仮に失敗したとしても誰かに迷惑をかけるとか借金を背負うとかそんなリスクが発生することではないので、とにかくやってみようって感じです。
Nopposanがなぜここまで活躍できているかがここまでのお話しで分かった気がします。
院外でデザイナー活動するということに対して同僚とか周囲の反応はどうでした?
うーん・・・笑 罵声というか批判ばっかりでしたよ笑「病院として大丈夫なのか?」とか、「本当に仕事してんの?」とか、メール・LINEが最初のほうは来てましたね。皆さん僕のことを心配してのことだと思うんですけどね。
新しいことをしようとする人について回るよくあるエピソードかも知れませんね笑
デザイナー活動の実態をしっかり聞いてみると、お仕事意外の時間をとてもうまく活用されていて、誰にも迷惑をかけていないですよね?
そうなんですよね。ただ最初のほうは応援の言葉っていうのはあんまり掛けられた記憶がないですね。
学生時代の友人で当時から唯一応援してくれる方がいたんですけど、その友人は展示会があったら毎回来てくれるんですよね。そういう人の存在は本当にありがたいと思います。
地位や名声がないときでもそばで応援してくれる人は心から大事にしたいと思えますよね。
そういった存在の方が身近にいるということが分かっただけでもここまで挑戦した甲斐がありましたね。
そうですね。人間関係もすごく整理できました笑
病院関連からお話ちょっと広げていきたいと思うんですけどデザイナー活動するってのは意識せずに理学療法士になったじゃないですか。 その中で偶然にも理学療法⼠として働いているからこそ、何かデザイナー活動に⽣きたなって思うことってありますか?
ありますね。僕の絵に対する想いやコンセプトの土台は理学療法⼠のおかげだと想います。
リップサービスとかではないですよね?笑
違います笑 大きい理由が1つあるんですよ。
僕はいま急性期病院に勤務しているんですけど、普段は脳卒中の患者さんをバリバリ歩⾏訓練してるんですよね。コロナ禍の前には患者さんのご家族の方がリハビリ室に見学に来られることがあったんですけど、 そういう時って患者さんはめちゃくちゃ頑張ってくれるんですよね。その時に人の愛情が誰かに与える影響って凄いなと心から思ったんですよね。
たしかに、僕たちはお仕事を通して家族の愛情を間近でみることができる特等席に座らせてもらえてるのかもしれないですね。
もう本当に、その実体験で人が動く原動力の真髄に触れた気がして、自分の絵をみてそれを好きになってくれたり感動してもらったりすることで、僕が理学療法士としてお仕事をする中で体験した感情をイラストを通して還元したいという気持ちは凄くありますね。
素晴らしいですね。僕が予想していたイメージとは全然違いました。臨床的な考え方が活きたとかそういうお話しかと思っていました。
ですよね。僕は、理学療法士という仕事だからこそ体感することができた感情の部分で影響を大きく受けていると想います。
恐れ入りました。今度は逆に、デザイナー活動が理学療法士としての働き方に良い方向にへ作用しているといったエピソードはありますか?
僕としてはデザイナー活動というか好きなことで活動することで圧倒的に自己表現の場が増えたっていうことですかね。
“自己表現”というキーワードは今回のインタビューでもでてきましたが、具体的にどういうことでしょうか?