- インタビュイー:立石聡史さん
- インタビュアー:舩津康平
第3回:運動器分野で理学療法士が名を上げるには?
「運動器分野の理学療法で名を上げたい!」と思っている人たちは、何をすればいいと思いますか?
そうですね。どういう分野で名を上げたいのか、研究なのか臨床なのかにもよりますが、まずはメンターを一人作るといいと思います。最初はその人の真似事でいいから、吸収していくのが一番早いんじゃないかなと。
一人で頑張るのはやっぱり大変ですか?
運動器分野はある程度、エキスパートが固まってきていますから、その人たちについていって、最終的に追い越すぐらいの気持ちで取り組むのがいいですね。何でもいいから、ずっとついていった方がいいと思います。外部とのつながりは積極的に持つべきです。
自分の将来を見据えて、勇気を持って行動することが大事なんですね。
次に、もし今、理学療法士になったばかりの状態からキャリアをスタートするなら、どうしますか?
今は昔と違いますよね。あまりガツガツ仕事をしなかったかもしれないです。「勉強会に行くべきだ」という風潮がありましたが、今なら時代に合わないと思われるかもしれません。
えっ、そっち側になるんですか?(汗)
良くも悪くも、今は個性を重視する傾向がありますよね。昔みたいなモチベーションは保てなかったかもしれません。以前は勉強会に行く人が優秀、行かない人はダメという風潮でしたが、今は勉強することもプライベートを重視することもどちらも尊重される時代です。
多様性が重視されていますね。
僕がここまで来られたのは、股関節鏡という未知の分野に出会ったのが大きかったと思います。学術的な活動もやりやすかったですし。ただ、臨床にいる以上、臨床の勉強はしっかりするべきだと思っています。
勉強の方法自体が難しくなっていますよね。
そうなんです。今は勉強のツールが多すぎて、自分が何に困っているのか分かっていない人も多い。そのために僕がやっていたのは、毎日の臨床で困ったことをメモすること。胸ポケットに入るくらいの紙に書いて、夜に見返して、すぐに調べられることだけを調べる。それを繰り返していました。
忙しいと、困ったことも忘れてしまいがちですもんね。地道な積み重ねが大切なんですね。これは若い人たちにぜひ聞いてほしいです。
では、これからのことについて伺います。立石さんほどの実力がある中で、自費診療の分野に行かない理由はありますか?
いやいや、自分ではそんなに実力があるとは思っていません(笑)。それに、一人でやっていくにはドクターとの紹介関係など、コネクションや土台作りが必要です。今の自分にはそれがない。だから、自費診療は選択肢にはなっていません。
整形外科医だけでなく、他科との連携も必要ですもんね。
そうですね。自費診療をビジネスとして成り立たせるには、商売としての視点が必要になります。でも自分はあくまで「どうしたら患者さんが良くなるか」に全力を注ぎたい。そのほうが性に合っています。
それが軸としてブレないんですね。では最後の質問です。立石さんにとって「ジユウニハタラク」とは?
自分は組織の中で働いてきた人間なので、組織での話になります。組織の中で自由に働くには、相応の責任を果たした上で、自由に動かせてもらうことが大事だと思います。患者さん、仕事、収益に対して責任を果たす。それらをある程度クリアした上で自由に働くことが「ジユウニハタラク」だと思っています。責任がなければ自由もない。だからこそ、自分自身に対する責任が大切です。
理学療法の話からキャリアの話まで、たくさん伺えました。病院内で運動器理学療法を極めたい方にとって、大変参考になるお話だったと思います!
Profile
立石聡史さん
学歴
2005年: 吉備国際大学 保健科学部 理学療法学科 卒業
職歴
2005年: 福岡新水巻病院 入職
2011年: 産業医科大学若松病院 入職
主な資格
運動器認定理学療法士
運動器理学療法専門理学療法士
