「理学療法士の未来を創る:教育と給与制度の革新」
初めの頃は、改革に対する抵抗も少なからずありました。しかし、徐々に教育の成果が現れ、スタッフの技術や知識が向上するにつれて、組織全体で取り組む価値を感じてもらえるようになったと思います。
先ほどお話されてた、ラダー制度の審査基準について教えていただけますか?この制度を習得することで上に昇進できるのでしょうか、それとも上司の評価も影響しますか?
ラダー制度において、上司の評価は一切関係ありません。重要なのは、院内での勉強会やボランティア活動、県士会活動への参加など、具体的な行動です。例えば、認定などの資格を持っているかどうかも一つの基準です。私が求めるのは臨床能力、学術能力、そして社会的能力の3つです。臨床能力が優れているだけでも問題ありませんし、学術的に優れているのも構いませんが、それをしっかりとスタッフに還元できる人でなければいけません。
その仕組みが非常にしっかりしている印象を受けます。遠藤先生の思いが教育制度にしっかりと反映されていて、その教育制度も確立してきていると思いますが、これからの目標についてお聞かせいただけますか?
そうですね、今後の目標としては、教育システムや給与システムの改善があると思います。うちの病院では、新人を対象とした新人教育、4〜5年目の中堅を対象としたフォローアップ研修、さらに10年目くらいを対象とした中間管理職研修など、段階的な研修システムが整っています。それに合わせてラダー制度も給与制度にリンクしており、各段階でやるべきことが明確に記載されています。そのため、特に新たに追加すべきことは今のところ感じていません。ただし、スタッフからアンケートを取ったりして、今後どう改善していくべきかを考えていくつもりです。
その段階的な教育システムが確立しているという点は素晴らしいです。しかし、規模が大きくなると、新たな課題や問題も増えるかと思います。そういった課題を乗り越えるために、どのような取り組みが必要だと感じていますか?
一つ強みとして挙げられるのは、非常に多くの仲間がいるという点です。いろんなスタッフがそれぞれ個性を持ち、様々な事業を展開することができる点が強みだと思っています。また、職場の文化として「やってみよう」という姿勢がありますので、それが非常にありがたいです。スタッフが考えたことを試してみる場を提供し、それを実現するために私も全力でサポートします。もちろん、上司として、スタッフが考えたことをしっかりと上に伝え、実行に移せるようにするのが私の役目だと考えています。
なるほど、その「やってみよう」という文化が大きな強みなんですね。実際、スタッフが考えたことを形にする際、どのようなプロセスで進めているのでしょうか?
それは非常にシンプルで、臨床現場で培ったPDCAサイクルを回しているだけです。最初に計画を立て、実行し、その後の結果を反映させて改善を行う。その繰り返しで、問題点を洗い出し、何度も修正を加えながら進めていきます。これが基本的なプロセスですね。規模が大きくなれば問題も大きくなりますが、最終的にはその問題に対しても同様にPDCAサイクルを適用し、改善していきます。
なるほど、そのプロセスがしっかりと構築されているんですね。規模が大きくなることで問題も大きくなりますが、それに立ち向かう力を持っているという点がすごいです。給与制度とラダー制度がどのように結びついているかについてお聞きしたいのですが、他の病院ではラダーが給与制度と結びついていないケースが多いと聞きます。この結びつけをどう実現したのか、その方法についてお聞かせいただけますか?
うちの病院では、もともと給与決定に関して各部門の責任者に権限がありました。もちろん最終けっては事務長などの上長が行いますが。そのため、ラダー制度を給与に組み込む際にもスムーズに導入できたという背景があります。その結果、ラダー制度と給与が結びつき、組織力の強化にも繋がっています。
なるほど、権限があるからこそ、スムーズに制度を結びつけることができたということですね。
はい、まさにその通りです。給与とラダーを結びつけることで、スタッフのモチベーションや組織力の向上に繋がったと感じています。
なるほど。これはめちゃくちゃ勉強になりました。
次に、教育制度の成果はどのように測定されていますか?
教育制度の定着度や効果はアンケートや実践のフィードバックを通じて確認しています。また、スタッフがどの程度、自主的に学び、組織に還元しているかも重要な指標としています。
その教育体制や給与制度の反響についてはいかがですか?
全体としてはポジティブな意見が多いですが、最近ではアンケートを取り、制度の効果を測定しています。これにより、スタッフがどのように感じているのか、改善点が明確になりますね。
最後に、これからの理学療法士の教育や組織運営における展望について教えていただけますか?
プロフェッショナルとして、最低限のリハビリテーションを提供できる人材を育成したいと考えています。また、若い世代が活躍できる環境を作ることが目標です。
若い世代に向けてのメッセージをお願いします。
理学療法士としてプロ意識を持ち、仲間とともに成長していくことの重要性を感じてほしいと思います。組織での経験や失敗を恐れず、挑戦し続けてください。
最後に、恒例なんですけれども、遠藤先生にとって「ジユウニハタラク」とは何かっていうところで最後締めていただいてよろしいですかね。
プロとしてやりたいことを追求することじゃないですかね。それが自由に働くことに繋がると思います。
今回聞いたインタビューの記事を見て、それを体現すればみんな自由になれると。貴重なお話をありがとうございました。
Profile
遠藤正英さん
2012年に桜十字福岡病院の前身・友愛病院に入職。病棟マネジャー、リハビリ部主任を経て、2017年からリハビリ部長。
柳川専門リハビリテーション学院、九州医療スポーツ専門学校の非常勤講師。日本理学療法士協会分科学会運営幹事などの役職多数。
2021年から、桜十字グループ福岡事業本部リハビリテーション統括。
